元大工の独り言

元大工が建築業界の愚痴をこぼす

大工(職人)はなんで土曜日と祭日も仕事なの?稼げないからでしょ

俺は弟子の頃からずっと今でも疑問に思っているのが

「何で職人は休みが日曜だけなのが当たり前なんだ?」

という事である。

昔の名残なのか何なのか知らないが、今どきおかしいだろ?

みんな土曜祭日は当たり前のように仕事してるよね。

まぁ、理由は簡単だよね。

 

「稼げないから」

これしかない。

しかもこれは悪循環を生んでいる。

一人親方の職人は個人事業主で、いわば会社の社長だ。

なのに、取引先であるハウスメーカー工務店と単価交渉の機会はまず与えられない。

これってマジでおかしいですよ。

「職人は他にいくらでもいるから、この金額でできないなら他に頼むので結構です。」

こういった具合だ。

まず、昔と違って職人の価値は高くないのだ。それは大工でも同じだ。

というか、大工の価値が一番下がってると言っても過言ではない。

大工仕事が簡単になってるから仕方ない。

で、単価が安いから長時間働くんだけど、そうすると当然工期よりも早く終わるんだよ。

そうなると工務店側は「そんな早く終わるなら単価下げるか」という発想になる。

単価が安い→長時間働くしか無い→早く終る→単価が下がる→もっと働く→早く終る→単価が下がる→この繰り返し

他の業界でもそうだけど、安い単価でどんどん仕事を引き受けると業界全体が悪くなっていく。

しかも、職人は声を上げたり他の業種に転職するという発想に至らない人が多い。

「俺は職人しかできないんだ」と決めつけている人がほとんどだ。

そうやって土祭出勤が当たりまえになっていったんだと思う。

この時点で、土祭休みの会社員よりも一ヶ月あたり平均5日か6日多く仕事してることになる。

1日8時間、6日で48時間、仮に時給が1500円だとしたら7万2千円にもなる

確かに職人は、普通の会社員より多くお金をもらってるように見えるけど、それは単純に長い時間働いているだけなんですよ。

そこから交通費や道具代、機械代も自腹です。

重い荷物積んで毎日長距離走っていれば、普通の車より故障も出やすくます。

更に、会社員であれば会社がある程度負担してくれる労災、国民健康保険、年金なども全額自腹です。

当然、怪我や病気をして働けなくなっても誰も面倒見てくれません。

長年仲良くしてた工務店でさえも一切連絡なしです。

しかも、仕事はどんどん減ってく一方。

最近ではマイホーム不要論が広まりつつあるので、今後は賃貸がメインになって戸建ての需要は更に減っていくでしょうね。

これでもまだ職人続けますか?